菊地トオル・ロング・インタヴュー



第六回:始まりは先進的経営者の方々との出会いから

 

Q:発足当時、会員数は何人でしたか。

 

菊地:10人ほどです。最初はある経営者の勉強会があって、そこは、「企業だからといって金儲けのことばかり考えていてはダメだ」という人たちの集まりで、勉強会を開いていたんですよ。参加企業は10数社でしょうか。参加者のほとんどがオーナー経営者でした。その方々から講演を頼まれた際に、「これからの人間の生き方というのは、宇宙的にこういう風に変わっていくのですよ」という新しい価値観を提案したんです。そうしたら「そういう、何か人間に貢献できる経営は出来ないものか考えている」と賛同をいただきました。

確かに経営というのは利潤追求ですが、利益を追求しながらも人間や社会に貢献出来る会社が出来ないものかと考えている経営者が集まっていたのです。すごい考え方だなと思いました。それでこれは他の経営者たちにも広めていきたい考え方だということになって、それが現在の未来創学の始まりで、最初の会員となったのはそのときの経営者の方々がほとんどでした。そうした経緯があるために、いままでも比較的経営者のメンバーが多いんです。

そういう意味では経営者というのは先進的ですよね。常に社会の先端を行こうとするから…。それが金銭的儲けだけではなくて、精神的にも先進的であろうとした人たちがいたということは、素敵なことだと思いましたね。

 

Q:その「新しい価値観」というのは、どういうことですか。

 

菊地:一言で言えば、「現在の人間は、肉体的な価値観中心の考え方であって、人間を構成するもう一つの要素、生体エネルギー(魂)の価値観を生かしていない」ということです。これは、本にも書いてある通り、人間が進化していくことに関係があって、人間は(宇宙的に)進化して行くにつれ人間を構成している肉体と生体エネルギーのバランスが変わり、精神的な部分が占める割合が大きくなるのです。そうすると物質欲というものが薄れてくる。だから金銭欲だとか、食欲といった肉体寄りの価値観がだんだん変わってゆくんです。当然それに伴って価値観も変化するということです。

 

Q:名称変更はスムーズに実現したんですか。

 

菊地:名前の変更とか、新組織の創設などはスムーズにできました。

 

Q:何かご苦労はありませんでしたか。

 

菊地:苦労という点では、私がチャネリングで得た宇宙の真理を皆さんにお伝えしたとき、「人間というのはこういう構造なのか」、「宇宙というのはこういうシステムなのか」ということを素直に受けてくれた人たちが最初のメンバーだった訳だけど、大多数の人たちは、やっぱり今までの長い間の歴史の中で植えつけられた宗教観とか人間観というのがものすごく根強くて、スピリチュアルの新しい理論を機構ともしない。あるいは今までの観念と比較検討しようという姿勢がまったくなかった、という点でしょうか。

大多数の人と言った中にはオカルト好きな人や精神世界に傾倒している人も含まれています。そういう人たちの既成観念は、その分野にまったく興味のない人よりも、さらに強くて困りましたね。

だから、そうした問題にぶちあたってガックリしたことはありました。予想はしていたのですけどね。そこの部分には大変苦労しました。基本的に耳を傾けてくれない訳だから。

だからといって、人々が受け入れやすいカタチ、つまり古くから世界に根付いている宗教的な組織形態や、利潤を追求する企業のような組織形態はとらなかった。あくまで「宇宙的思考の学校」を目指しました。

宗教の一種ではないかとか、利潤目的じゃないかと誤解されるのがイヤだったし、これさえ(経典等)読めば、これさえ(お題目等)つぶやけば、悩みごとから開放されるといった誤った方便をささやいて気を引くということは出来なかった。これは今でも誇りに思いますけどね。

宗教的なやり方をすれば、それはそれで話しを聞いてもらえることはわかっていたのですが、でもそれは真理ではないですから…。でも昔からある、広めるための手法を取らずに多くの人に知ってもらいたいという矛盾にぶちあたってとても苦労しました。

「未来創学アカデミーの会員がたくさん増えて欲しい」ということではないんです。でも未来創学をありのまま受け止めていただかなければ、未来創学のことを避難することも、判断することも出来ないはずです。

 

Q:でも現在は良い方向に来ているとは感じているわけですね。

 

菊地:同じ苦労はね、永遠に続くと思う。何千年と続いてきた観念を人々は持ってしまっていますから。ある意味ではそれによってさまざまな出来ごとを「神様の采配」という自分に都合の良い、または口当たりの良い解釈にしてしまっているところもあるから、そうした中で宇宙の真理について話していくというのは大変だろうなあと思いますね。

創立5周年の直前に「オウム真理教事件」が起きました。まだ完全に未来創学論を理解していなかった、あるいは当時のファッション的な意味合いでこの分野を捉えていらっしゃった会員は去っていきました。宗教は怖い!(笑)って言ってね。未来創学アカデミーは宗教ではないんですが…。

不思議に感じるのは、そうやって「宗教はイヤ!」という意見も多い中で、未だに多くの宗教団体が発展しているという事実。ある意味、怖さも感じます。

 

Q:全国に支部が拡がって来ていますが、学長は東京にお住まいですから、当初は東京の会だったわけですよね。それが全国で講演したり、未来創学アカデミーの支部が各地にできたキッカケというのは何だったんでしょうか。

 

菊地:面白いから話を聞いてごらん!なんてことで紹介されたり、身体がヒーリングによって良い方向に向かった人たちが自分の親戚に話したりといったことですね。またある大学の学生さんの遭難事故捜索に協力させていただき、遺体を透視で発見し、それがメディアで報じられたり、テレビ撮影クルーとアラスカでマンモス捜索に加わったり…。そんな活動で認知されていったこともあります。興味を持って頂けた先進的な方々がクチコミでご紹介いただけるというのはすばらしいことです。感謝しています。けれど、本の出版や年数回の講演、会報の配布程度のことしかして差し上げられない地域の会員さんもいて申し訳ないと思っています。いま早急に教材の作成だとか、インストラクターの養成を行ってシステム化を進めているところです。(現在では教材等整っている)

 

Q:支部や地方の会員の皆さんとのコミュニケーションはまだ足りていないと思っているわけですね。

 

菊地:ええ。事務局が東京だから、東京中心になってしまっていますが、声をかけていただければどんどん出掛けていくし、その後興味を持ってくれて、未来創学論をもっと知りたいと思ってくれた方々には、少しでもたくさんの機会や教材を提供していきたいと考えています。正直最近は東京中心ですので、まだまだいろいろな地域の方々と出会いたいと思っています。事務局にご連絡いただければ、私やインストラクターが出向いてお話をさせていただきますので、どうぞご連絡を!(笑)

 

Q:今後未来創学アカデミーはどうなっていくんでしょうか。

 

菊地:学校のような形で続けられれば、と思ってはいます。学校というところは学問の基礎、社会生活の基礎を教えるところですよね。洗脳したりしないわけだから。それは、未来創学の意義に通じるものなのです。人間は進化するという事実、そしてそれにともたって発生する目で見ることができない新しい価値観を、「未来創学」という一つの学問として、後世まで残していきたいと思っています。

す。