ちょっと上の写真を見ていただけるでしょうか。風船が舞っていて、「何だか楽しそうですね~」……って、そんなわけはありません。
これは、この5月に行われた台湾立法院議会(国会)の様子です。
ご承知の通り、台湾では今年の初めに総統選挙が行われ、対中路線を主張する与党候補が勝ちました。しかしながら、同時に行われた立法院議員選挙では野党が優勢となり、「ねじれ議会」になり、双方が風船やらビラなどを持ち込み、上の写真ような混乱となっています。
混乱はアジアだけでなく、世界に多大な影響を与えるアメリカでも今年の秋に行われる大統領選では、高齢者の戦いなどと揶揄され、一方の候補者が有罪判決を受けるなどの混乱が続き、大国アメリカの進路が危ぶまれています。
欧州でも、EU議会選挙においてEU懐疑派が勢力を伸ばし、イギリス、フランスでは突然の議会解散という混乱ぶり。
その混乱の大きな原因は、何といっても「経済問題」でしょう。中国を含め、これら多くの国がGDPを落としています。
日本も例外ではありません。1968年以来、アメリカについで世界2位を誇ってきた日本ですが、2010年にはついに中国に抜かれ、昨年はドイツに、そして来年にはインドにも追いつかれて世界5位になる見込みとなっています。
決してGDP=幸福度というわけではありませんが、経済的な国力が落ちてきたことは事実です。これが混乱の大きな原因になっています。
このような状況の中で、考えなくてはならないことが「思考の転換」でしょう。
終戦から80年が過ぎようとしていますが、日本の戦後復興は世界の手本とさえ呼ばれてきました。事実、日本の復興は目覚ましいものがありました。しかしながら、バブル崩壊以来、経済の低迷が続き、活気を失っています。
日本社会は今、大きな変革期にあるといえます。
問題は、それに気づいている方がどれくらい存在しているかということです。
経済が発展している時代の考え方とは違った思考と手法が必要です。この「思考の転換」が出来ている経営者がどのくらい居るかがキーポイントになります。
日本人の長所として真っ先にあげられるのが「集団性」、そして「集中力」です。集団で取り組み、細部にまで改良を加えて改善を重ねる手法は世界一と言えます。しかし、この「集団性」は短所とも言えます。集団性を重んじるが故に、抜きんでた才能をつぶす「出る釘は打たれる」。そして「不正の隠蔽」も起こりやすい環境となります。最近も日本が誇る自動車産業がこの問題で大きく揺れました。
そして最も問題となる短所は「創造性の欠如」です。
現在の混乱している世界状況の中でも、発展を維持しているのはアメリカです。常に世界をリードするアイデアを生み出します。日本にはない長所と言えます。
日本人の「集団性」と「集中力」は民族性ともいえるスピリチュアル的特性から来ています。それを活かし、短所の克服と長所を組み合わせることにより、最大限の力を発揮するポテンシャルを日本は持っています。
世界の政治が混乱し紛争が続く中、日本政治もさまざまな問題が噴出していますが、日本の優位性は国民の「不思議な安定感」にあると言えるでしょう。
これは世界の中でもかなり特殊な社会と言えます。社会を二分するようなイデオロギー闘争が起きるわけでもなく、宗教による社会分断もありません。
このような優位性を持つ中で、やるべきことは、「出る釘を打たない」こと。
経営者は、次世代のアイデアを聞く包容力を持ち、それを集団の力で磨いてゆくことで発展が進みます。
経営者が「思考の転換」を真っ先に進め、「創造性のあるアイデア+日本人の特徴である集団で細部を詰める集中力」を生かすようにしていただければと思います。
今でも日本の技術力、製品は世界においても十分戦えるものです。
そこに創造性あるアイデアとデザイン、集中力が加われば、必ず新しい展開が始まります。