内閣改造が終わり、この題名の対象となったであろうお一人は、すでに大臣ではなくなりました。
日本にとって、とても重大なことであり、世界中から耳目を集めた「原発処理水の放出」問題。今回はなかなか周到に内外の準備を進めたと見え、一部の国を除けば大きな拒否反応は出なかったように思われます。
それはそれとして、例え原発事故が自然災害から発生しているとは言え、世界中に迷惑を掛けていることは事実として受け止めなくてはならないでしょう。
そんな中で、漁業当事者の苦難は計り知れないものがあり、そしてそれは全国民で支えるものだと考えています。食糧が安全保障上の対象となって来た今、尚更国内の食料産業は大切にしなければならないはずです。その食料、漁業を支える中心が農林水産省です。
「たいへん驚いた。まったく想定していなかった」。
これはある隣国が、原発処理水放出反対キャンペーンの第二弾として、鮮魚のみならず、日本製水産加工物の全面禁輸を発表したときに、時の農水大臣が発した発言です。この大臣はその後も「処理水」を自ら「汚染水」と発言もし、顰蹙をかい、信頼を失いました。
言葉と言うものは言霊でもあり、「常日頃思っていることが口から出てしまう」という厄介なものでもあります。「危機を想定も出来ず、言葉も扱えない人物」が私たち日本の大臣なのです。
またもう一つ気になることは「政治家のパフォーマンス」。お決まりの安全宣言「試食会」です。
このパフォーマンス自体には辟易してしまいますが、これはなかなか効果もあるようで、未だに何かというと行われます。しかしながら今回はそのタイミングが問題です。
複数の政治家がこのパフォーマンスを行いましたが、いずれも処理水放出当日か翌日でした。
当然ながら、魚への影響は出るはずもありません。影響が出始めるとすれば(もちろん出ないことを信じていますが)、誰が考えても、もう少し時間が経過してからでしょう。本来なら、放出後一週間、一か月、一年後にやっていただきたいものです。
そうは言っても政治家たちの気持ちもわからないではありません。時間が経ってから行うのでは、「折角そのことを忘れかけた国民に、放出を思い出させてしまう」「寝た子を起こすことになりかねない」……。このようには思っていないことを祈りますが、このパフォーマンスのタイミングを見ると、そう疑いたくもなるというものです。
よく政治家は「丁寧な説明をしなくてはならない」と口にしますが、知る限りではいろいろな事柄で丁寧な説明を聞いたことは、まずありません。
では今回の処理水放出についてはどうしたら良いでしょうか。出来る限り、長期にわたって世界の信頼を得るために「丁寧な説明」をする必要があるでしょう。例えば次のような広告を世界中に配信するのも一案です。
We're Sorry
日本はかつてない大規模災害に襲われ、大変な被害を受けました。その被害の一つが原発の事故でした。
そして日本は復帰に向けて全力で頑張っています。
そのような中で、今回、処理水の放出が必要となりご迷惑をおかけしています。
However……
日本は世界中の技術を導入し、可能な限りの処理を行っています。
またIAEAなどの公正な機関に科学的な検証をいただき、安全性を確認しています。
そしてその検証を引き続き行い続けます。
内容はいろいろあるかも知れませんが、こんな広告を一か月に一度でも世界中の新聞に掲載し、それを当分続ける。こんな方法もあるでしょう。いろいろな知恵を絞り、「丁寧な説明」をすることが大切です。