円安が進み、インフレは止まるところを知らず、しかしながら株価は高騰……。経済はイキモノであり、なかなか人間が御することは難しいことは当然なのですが、この経済に振り回され苦労するのは結局庶民なのですから堪ったものではありません。
過去を振り返っても、日本が経済的奈落の底に落ちた「バブル崩壊」。
1990年代初頭に起きたこの現象は政治的要素が大きく関わっていました。上がりに上がった地価を沈静化させようと政府がとった「総量規制」という政策が崩壊の引き金を引きました。
それ以来の30年は、日本が世界から取り残されることになり、現在まで尾を引いています。
2008年にはアメリカ発の金融危機が起こり、現在はロシアのウクライナ侵攻により、物価上昇の嵐が世界を襲っています。
現在、インフレは意図せず私たちの生活を襲い、物価は上がり続け、急速な円安には歯止めが掛からない状況にも関わらず、株価はバブル後最高値を更新しています。
電気料金もうなぎ上りで、東人大震災に関わる復興財源としての値上げなど霞んでしまうほどの値上がりで、ガソリン代も政府補助を大量に投入して、政治家は「抑制出来ている」としていますが、高止まりしているだけで、一向に下がる気配はありません。
この問題は海外でも同様なようで、特にガソリンが安いとされていたアメリカでは、今までの2倍という高値が続いているようです。
そして同じくアメリカで、経済を牽引していたスタート・アップ(SU)企業やベンチャー(V)企業と多くの取引があったSVBという銀行が破綻し、それがきっかけとなりSU・V企業が立ち行かなく状況にもなってきています。
そんな人智を超えた動きをする「経済」なのですが、日本の金融を支える元日銀総裁の発言が非常に今の日本を象徴しているように感じられます。
それはどんな発言かと言うと「(金融緩和は)経済、物価の押し上げ効果を発揮した。政策は成功だった」と振り返り、国債などに関する政策について、「何の反省もありませんし、負の遺産だとも思っておりません」とぶち上げたのでした。そして「政府の政策とも相まって、経済、物価の押し上げ効果をしっかりと発揮し、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっている」とも述べています。
確かに現在はデフレではなくインフレです。しかしそれは政策が誘導した、コントロールされたインフレでは全くありません。
このような発言は氷山の一角で、「行政・政治は間違えない!」という驕った気持ちがまん延しています。
人間には「気」というエネルギーがあります。これは生命の本質的エネルギーで、人間なら誰しもが持っているもの。ですからこのエネルギーは人から人へ伝わって行きます。経済を司る人々が「反省のないエネルギー」を国民に発し続けていたら、次の世代にどのように伝わって行くのでしょうか。恐ろしいものがあります。
少なくとも私たち一般人はちゃんと「反省」し、ただすところは正し、有意義なエネルギーを周りの人々に発したいものです。