AI(Artificial Intelligence=人工知能)がいよいよ身近になりそうです。
AIは今までもさまざまな分野で導入が進み、薬の開発や遺伝子解析など複雑な計算と推測が必要な分野に積極的に用いられていました。
ここ3年にわたり猛威を振るったコロナ・ウィルスに対するワクチン開発などはAIがなかったらまだ実現していなかったかも知れません。しかしながらその多くは非常に専門的分野であり、大きなコンピューターを必要としていました。それがここへ来て、「対話型AI」という技術の進歩により我々一般の人々にも使えるようになって来たというのです。
人間がAIに対して「何か問いかけをすると、それについて一定の文章(会話)で返してくる」と言うもので、例えば「恋愛についての短編小説を書いてみて」などと問いかけるとかなりの文章を書き、「歌の歌詞を作って」という問いかけにも答えてくるようです。
この機能がネット検索用のブラウザにも搭載されてくるようで、ますますコンピューターは進化し、人間に近づいて来ています。
このような技術の進歩が進むたびに話題になるのが「コンピューターは人間の代わりになるのか?」「コンピューターによって人間は仕事を奪われるのか?」ということです。
答えはどちらも「イエス」です。ある部分では人間を超え、ある部分では人間の仕事は奪われます。
以前、当学報に「カリフォルニア通信」を投稿してくれた学生さんが現在、アメリカでフードテックのスタートアップ(食に関する新しい技術開発を行う新興会社)で仕事をしています。彼の会社のおこなっていることは「培養肉の製造」です。牛の細胞から食肉を創り出す画期的な技術です。
すでに開発には成功しているようで、これが一般的になれば世界の飢餓を救うことが出来るでしょう。
しかしながら反面で見れば、すべての畜産業が壊滅的な打撃を受けます。
皆さんもよくご利用なさっているであろう「アマゾン」。
最初はネット書店から始まり、街の書店は大打撃を受けました。その後はあらゆるものを販売する「Eコマース」という新たな産業に成長しました。
このように新しい技術開発が進むと、必ず衰退する業種が出てくることは避けられないことなのです。
18世紀の産業革命においても同じことが議論されています。それでも人間が仕事を無くし、機械に取って代わられ不幸になったか……というと、そんなことはありませんでした。一時的にはなくなる業種も出てしまいましたが、新しい業種と職場がその都度生まれています。
問題は何かというと人間が持つ「既成概念」です。これはなかなか厄介なもので、多くの人はここから脱却し、新しい価値観に切り替えることが難しいようです。
宇宙的に見ても、これらのデジタル的な技術に類似するものはいくつも存在します。
それはこの技術が宇宙のシステムに合致しているものだからでしょう。そしてこの技術進歩のスピードは非常に速いのです。
このような時代、これからの社会に対応するために必要なことは、慣習などに捉われず、常に新しい価値観に対応できる柔軟性です。そして新しいものを創り出す創造力でしょう。
「頭が固いと社会から取り残される!」。
AIと人間の差は柔軟性と創造力です。これらを意識するだけで人生がどれだけ充実するか。これは計り知れない差となって表れることでしょう。