先日、衆議院議員選挙が行われましたが、その時に、ある政党のポスターに「ブレないっ!」と言う言葉が踊っていました。
最近でも、給付金やワクチンの追加接種などを巡って「政府はブレている!」という批判を多く聞きます。しかしながら、「ブレる」、すなわち「考えを変える」ことはそんなに悪いことなのでしょうか。言葉や行動は、受け取る相手によっても時代によっても、その解釈は随分と変わるものです。
「朝令暮改」という言葉があります。
ご存知のように、「朝、法律を発令して、夕方には別の法律を出す」という「方針が定まらない」ことを表す中国の言葉で、決してプラスのイメージではありません。
似たような言葉に「優柔不断」「二転三転」「右顧左眄」などがあり、どれもマイナス・イメージの表現です。確かに、方針がコロコロ変わってしまっては目的達成などはなかなか難しいでしょう。
反面、変わることが前向きになる言葉もあります。
「君子豹変す」。これは本来「君子は潔く過ちを改める」という意味で使われていました。しかしながら、「朝令暮改」も「君子豹変す」も最近では違う意味で捉えられることも多くなったようです。
人が「意見を変える」ことは日常茶飯事で、ましてや指導的立場の人の発言や行動は、その影響力は多大なものがありますから、このような方針の転換は、「人の意見を聞く」(最近、どこぞの指導者が好んで使っている!?)ことによって「考え方を柔軟に変え、より良い方に向かう」一つの手段であることも事実です。
掲げた目標が間違っているにも関わらず、一度決めたら「ブレない!」は逆に大迷惑です。
方向転換するかしないかは、この目標・目的が最も重要です。
単に、「今までの慣習がそうだから」「自分は正しいと思っているから」などということに縛られて決定するのは危険です。
議論を尽くす時に「自分の主義主張」があることは大切ですが、本質的には「誰に対して」、「何のために」という大方針が正しいかどうかであって、「言ったことは貫く」とか「方針は変えない」ということは時によって「頑固」と同義語に成りかねません。
「君子は間違っていたら、豹変し、改善する」。
「朝出した法律も、間違っていたらすぐ改める」。
私たちもこんな「聞く耳」を持っていたら、世界はもっと暮らしやすくなるのでしょう。
今年は、そんな世界になりますように!