先日、ニュース番組で何とも不思議な場面が繰り返し流されていました。
皆さんも違和感を持ったのではないでしょうか。
「はい! 次の質問をどうぞ」…「はい!次の質問をどうぞ」……不自然な無表情さで同じセリフが続きました。
外務大臣の記者会見の映像です。
大臣の心の中には「わかってくれよ! 細かいことなど言えるわけがないだろ!」と気持ちがあるのでしょう。言い分は理解できるところがありますが、言い方は到底理解ができません。
外交交渉においては交渉が終わるまで表明できないことも多いことでしょう。人命が係った交渉事などは尚更ですし、もしテロに対し身代金を支払ったなどという場合も決して公表は出来ないでしょう。
国の交渉など、さまざまな事情があり本当のことを説明できないことは多いものです。それは理解できますが、人は「言葉」で相手の事情を察し、理解を深めることがほとんどです。これが言霊であり、雰囲気というテレパシー・コミュニケーションです。
「言葉を尽くす」ことは人間関係において大変大切なことです。
先の発言などは言い方によって「わかってくれよ! 細かいことなど言えるわけがないだろ!」というニュアンスに取れたり、「お前らに言ってもしょうがないだろ! 察しろよ」というニュアンスになったりもします。今回はまさに後者ではないでしょうか。本質のところではみんなが理解していることでも、言葉と態度によって相手の理解は大きく違ってしまいます。あなたが外務大臣の立場であったらどのような言葉を使ったでしょうか。
少なくともあのような発言はしなかったのではないでしょうか。時として「言葉使い」のプロであるべき政治家も感情に流されると失敗することが多いようです。
国会の議論でもいつも引っかかる部分があります。
「国会で論議を尽くす」といいながら、一方が「私は~~と思うのだが?」という問いかけに対して「私はそうは思いません」以上! ……で終わってしまうことが大変多く見受けられます。
これは議論といえるのでしょうか。
このような議論・会話になってしまうのは、「何のために」「誰のために」という気持ちが欠けているということの表れです。その主語が「国民」なのか「自分たち」なのかで大きく変わってゆくのです。「主語=気持ちの在り方」ですので特に気を付けて意識をする必要があります。
言葉の使い方一つで、同じ内容でも相手の受け取り方はまったく違った印象になってしまいます。「言霊」とは、象形文字的に表わされる形の波動だけでなく、主に「言葉に込めた、それを発する人の波動」です。ですからこれは日本語だけでなく、どんな言語にあるものです。
人は人間関係で悩むことが多くあります。家庭、仕事、社会でのトラブルはつきものです。しかしながらこれらの多くが「言葉の使い方」によって避けられるということを意識する必要があるでしょう。
今年は「言葉」を大切に!